大富豪の財布を返却した少年が泣き出す

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一息つく

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マラカイは埃っぽい床に倒れ込み、息を整えるのに必死で胸を上下させた。脚は走り続けて痛く、心臓は肋骨を打つようにドキドキしていた。立ち上がってこっそり逃げようとしたとき、外から声がした。

“やあ、坊や!どこにいるんだ?

不敵な叫び声に背筋が凍った。マラカイは壁に体を押しつけ、息をするのもやっとの思いで後ろに下がった。その男が諦めて立ち去ることを祈った。きっと彼には帰る家があるはずだ。

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