大富豪の財布を返却した少年が泣き出す

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第5のハードル

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マラカイが慣れない道を歩いていると、大道芸人たちが小さな群衆を魅了しているのに出くわした。太鼓のリズミカルなビートとダンサーの優雅な動きに、マラキは一瞬悩みから解放された。動き続けなければならないとは思いつつも、ついつい立ち止まって見入ってしまった。曲芸師が燃える松明を巧みに空中に投げ、バイオリニストが心に響くメロディーを奏でる。その活気あるエネルギーは彼を驚きで満たし、疲れ切った旅のなかではめったにない喜びの瞬間だった。しかし、すぐに現実が見えてきた。不本意ながら、彼は先に進んだ。

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